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No.17 新婚しんちゃん [short-short]

「ちょ、ちょっと待ってて……」
晋太郎はベッドに横たわる新妻の芽衣の耳元でどもり気味に囁くと、
何も身につけずケータイ電話を片手にバスルームへと入った。
どうしたらいいのかわからず、とにかく相談しなくてはと
慌てて電話をかけた。
「ママ。ボクだよ…」
「あらしんちゃん、どうしたの?まさか新婚旅行の初日で
もうケンカしたとかじゃないわよね」
「ちがうよママ…」
「どうしたの?、何か困ったことでもあった?」
晋太郎はケータイ電話の通話マイク部分を片手で覆いながら、
小声で言った。
「やりかたがわからないんだよママ…」
「わからないって、何よ? 言ってごらんママが教えてあげるから」
「実はさ、夕方ホテル着いて、夕ご飯食べて、それでお風呂に入って
寝るところだったんだ」
「それで?」
「結婚したんだから、しなきゃいけないと思って、始めたんだ…」
「始めたって、何を始めたの、しんちゃん?」
「……だから、その、セックスに決まってるだろ」
「あらよかったじゃない」
「よかったじゃない。本に書いてあったように、
順番通りちゃんとやったんだ」
「なんて書いてあったのかしら、その本には…」
「いちいち言わせないでよママ、わかるだろう」
「言ってくれなきゃ、ママだってわからないわよ。
何がちゃんとなの?」
「めんどくさいなぁ。だからぁ、キスして、胸さわったら、
そこから後は勢いだって、書いてあったから、勢いよく
胸さわってみたけど、その後どうすればいいの?」
「わかったわ、初夜の営みね。いましんちゃんは電話してるけど、
芽衣さんはどうしてるの?」
「ベッドにいる。ちょっと待っててっていったから、まだ
ベッドにいる。バスルームから電話してるんだよボク」
「わかったわ、しんちゃんママの言うことよく聞いて、聞いたようにやるのよ」
「はやく教えてよママ」
「いい?、しんちゃん。女の子がおしっことウンチするところ、わかる?」
「わかるよ、それくらい」
「そこにね、えーとねぇ、つまりその、晋ちゃんが夜中に
よく握っていたところあるでしょ、晋ちゃんのカラダの一部…」
「それを?」
「それを当ててグッと奥まで突っ込むの、思いっきり」
「思いっきり?、痛くない?」
「痛くたっていいのよ、初めは」
「だけど、濡れているんだよ」
「あらま晋ちゃんやるわね。上手なんじゃない?」
「え?それでいいの。でもボクの、濡れちゃうよ」
「いいの、それで。晋ちゃんも後になればよかったと思うから。
それだけよ。いい思いっきり突っ込むの。初めは痛くてもしょうがないの。
そのうちよくなるの。それでいいの、いい?わかった?」

 そして、十分ほど時間が経った。
「芽衣ちゃーん、助けて~、取れないよ~」
晋太郎の叫ぶ声を聞いて芽衣は飛び起き、バスルームのドアを開けた。
 そこには、便器に拳を突っ込んだ裸の晋太郎が、泣きながら
しゃがみ込んでいた。
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