No.46 「試験勉強」 [short-short]
「なあもうすぐ定期試験じゃん」
同じクラスのシュウイチが猫背でポケットに手を突っ込みながら近寄ってきて
こういった。めんどくせぇなあ。
「だから?」
「だからさ、おまえさ、このクラスではわりとちゃんと勉強してる方じゃん、
俺とちがってさ」
「だからどうした?」
「聞いてみようかと思って」
「何を?」
「英語と数学は受験科目だからみんなやってっけど、おまえ理科ちゃんと
やってる」
「やってるよ。それで?」
「やっぱすげーわ。さすが学年トップだけあるわな」
「でも、理科だぜ。面倒くさくない?」
「中学生のうちにちゃんとやっておかないと、つーか、基本が身についていないと
高校大学で困ることになるから中学生のうちからちゃんと勉強しておけって、パパも
言ってたしね」
「ふーん、で、どこでやってるの?」
「学校でもだけど、塾とか、家出とか…」
いきなりシュウイチはにたぁと笑い、教室中に聞こえる声で言った。
「おーい、聞いちゃったぜ。こいつ、リカとちゃんとやってるんだってよ。
エッチなことやってんだぜきっと」
なんだこいつ?アホのくせしてくだらねぇ言葉遊びで俺を引っかけやがったな。
「ああ、やってるよ」
「おーい、こいつ自分から白状したぜ。リカとやってるってよ」
周りにいたクラスの連中が俺たちを白い目で見ている。
しかたねぇ、こいつには悪いが、一発ダメージ喰らわせてやるか。
シュウイチの襟元を掴んで耳元を引き寄せ、まわりに聞こえないように小声で
言ってやった。
「リカだけじゃねーよ、ひとつ上のおまえの姉ちゃんともやってるよ!!!!」
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